【書評】児童書 『虫はごちそう!』野中健一著(産経新聞)

 ■「気持ち悪い」固定観念崩す

 これまで昆虫を排除の対象としか見てこなかった身には、自らの「虫=キモチワルイ」という固定観念を、嫌というほど自覚させられる一冊である。だからこそ著者は、先入観で虫を毛嫌いする大人より、カブトムシやチョウを追い、虫が身近な子供に、食文化としての昆虫を語りたかったのだろう。

 果たして登場するのは、くし刺しになったラオスの“焼きコオロギ”や、カラハリ砂漠の民、サン族(ブッシュマン)の好物という玉虫ペーストなど。モノクロ写真でも、相当なインパクトである。

 しかし立教大学で地理学を教える著者は、昆虫をあくまで果物や野菜と同じような食品として語る。アフリカやアジア各国に滞在し、現地の人と巣を掘り起こすなどして、さまざまな虫を採集する苦労。そして焼く、蒸すなど調理の工夫を目の当たりにし、味わう楽しさ。

 南アフリカの蛾(が)の幼虫の干物を「パリパリしてスナックのよう。煮干しに似たダシの味」と表現し、ラオスの白く肥えたフン虫の幼虫を「炒(いた)めて食べると、ふっくらしたやわらかさとコクが格別だ」と称賛する。「食べられるのか!」という驚きに加え、お菓子をつまむように昆虫を食す著者に、ただただ恐れ入る。昆虫食は世界的にはゲテモノ食ではなく、驚くほど多様なのだ。

 一方、日本でも大正8年には、55種の昆虫が食用にされていたとの報告が残されているそうだ。資料に基づき、日本各地で食べられてきた昆虫地図が付記されているが、イナゴや蜂の子はもとより、ゲンゴロウやセミ、カミキリムシなど意外な昆虫までもが、北海道から沖縄までビッシリ。同様の世界地図もあり、五大陸で蝿(はえ)やバッタなどが食べられてきたことが分かる。虫が「気持ち悪い」ものになってしまった大人ほど、衝撃を受けるかもしれない。(小峰書店・1470円)

 評・飯塚友子(文化部)

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